東京高等裁判所 昭和28年(う)458号 判決
被告人 宮崎善二郎 外一名
〔抄 録〕
被告人宮崎本人の控訴趣意について。
論旨は要するに自分達は藤田の共犯ではないというのである。なるほど一件記録を精査してみても被告人らが藤田と本件窃盗につき事前に明示的に共謀したという資料はない。しかし、右藤田と被告人らとは本件犯行以前に知り合つていた仮睡盗仲間であつて(記録第五七丁、第六九丁裏、第一〇八丁裏)、この仲間のしきたりとしてその一人が犯行を行うときは居合せた他の者が協力し稼ぎ高を分配し合うことになつており(記録第五七丁、第七六丁、第一〇九丁裏)、本件の場合も被告人らは藤田が仮睡盜を実行しようとしているのを知つてその傍に寄り犯行の発覚防止及び見張のため被害者の周辺に在つていわゆるマクとなつてその実行に協力したものであるし、藤田もまた被告人らが協力してくれることを知つてこれを利用しつつ財物窃取の目的を遂げた関係にあるのであるから、その間に意思の連絡もあり実行の分担があるわけであつて、共同正犯であることは疑がないのである。よつて論旨は理由がない。